2020年12月15日、eMAXISシリーズに突如、S&P500が誕生しました。すでにインデックス投資をしている人にとっては、これよりも信託報酬の安いeMAXIS slim米国株式(S&P500)がすでに存在するなかで、敢えてeMAXISでS&P500インデックスを登場させたことにネガティブな意見が多く聞かれました。
eMAXIS slimですでに提供されている商品を二重で出して、しかも後発で敢えて信託報酬の高い投信を投入するなんて三菱UFJ投信には失望しました。
しかし、本当にそうなのだろうか。
このeMAXIS S&P500インデックスはslimと比較すると信託報酬分劣後しており、一見すると全くメリットが無いようにも感じます。少なくとも我々インデックス投資家にとっては全く意味の無い商品の設定のように感じます。しかし、私はこの商品は批判されるだけのものではないと思っています。
販売会社は地方銀行である
この商品が設定された背景についてヒントは販売会社にあります。
販売会社が地方銀行のみなのです(2021年2月27日現在)もとよりネット証券などで取引することを想定していません。どちらかというと、これは投資を行ったことのない初心者向けに窓口営業による販売を目的に設定された投資信託と言えるでしょう。
これからの地銀が生き残るためのモデルとなりえるか
一方で、wMAXIS S&P500はこれまでの銀行が販売する割高の投資信託と比べると、信託報酬は0.3%とかなり低廉に抑えられている商品になっています。
この商品、私の地元香川県の地銀、百十四銀行が最初に販売を開始しました。
百十四銀行は現在若者を中心に定期預金の魅力低下やネット銀行などの登場によってリテールが先細りとなっていて危機感を感じているようです。その中でファイナンスプランニングと金融商品の販売を組み合わせた形での高度な販売を目指しているようです。
恐らく今回のeMAXIS S&P500の設定に関して信託報酬の一部はそのアドバイス料として徴収するための方便なのではないのかなと感じています。
このような販売方法は私としてはあまり健全ではないと思っていますが、じり貧の銀行業界において、このような商品の販売はそこまで非常識であるとまでは思いません。今でも多くの人にとって投資は敷居が高く、その一方で銀行への信用は厚いです。その信用を生かして投資人口を増やせていけるのであれば、それは素晴らしいことだと思うので、このような地銀専用に近い投資信託の動向については今後も注視していきたいと思っています。
いつか私も地銀にお世話になる日が来る…かも?
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